尾形くん EP.02  WANDERING TAIL

店を出て引き戸をピシャっと締めた尾形くんの、悲しげで、やるせない表情です。
尾形くんは基本、しぃちゃん自身に何か特別な感情はありません。
だけどこの店にはほんのひととき、自分がプロ野球選手として過ごした記憶がありました。


尾形くんにとってそれは、ファンに応援された唯一の、大切な思い出だったんです。
帰り際「楽しかった。また来ていい」と聞いた気持ちは、本心だったと思います。


店を出た尾形くんがこんな顔するのは、しぃちゃんが杢太郎さんの名前を出したからではありません。


彼女は、自分との思い出を共有できる人ではない。
ここも、自分の居場所ではないと理解したからでした。
そんな自覚は、なかったみたいですが・・。


だけどあんなの、しぃちゃんが警戒するの当たり前ですよね。


そもそも尾形くんは「愛なんて脆いもの」という持論実証の為に来ているので、あんな事をします。
思い出の自覚が無いので、自分自身で大切な記憶を汚している事に気が付きません。


このやるせない気持ちは持論を実証できなかったせいだ、と勘違いしてしまった尾形くんは、俺は絶対に正しいという「結論」を求めます。


そして事態はEP.07以降へと繋がって行くのでした。