夏のちょびっと

   この時期一軍では、毎試合5回裏のあと花火が上がります。
   二軍でお仕事してる人には、見る機会がなかなか無いやつです。

   毎日見てる一軍レギュラーなら、大した事無い話かもしれない。
   だけどたまの一軍でお仕事があると、こんなんも楽しみだったりしますよね。

   菊田コーチも、一軍で活躍してた時は、毎試合見てる人でした。
   懐かしいでしょう?と声をかけたら、少し間を取り「ちょびっとな❤️」って振り返る。
   茶目っ気たっぷりにポーズをとる可愛い笑顔は、今も昔も、変わりませんね。

   菊田コーチがレギュラーだった頃、チームで一緒にプレイした仲間は、キロちゃんと
   牛山さんだけです。

   ベテラン勢はもう花火より、花火を見てキャッキャはしゃいでる若者たちを
   見守ってる方が楽しいみたい。
 

   なぜか毎回鯉登内野手は、「月島ぁ!花火だぞ!」と叫んでる。
   ベンチ上に座るファンには、その声は筒抜けです。

   どうしていつも呼ぶんだろうね。
   だけどめんどくさそうなのに、必ず来てくれるよね。

   そんな呟きと共に、微笑ましく並んだ背中が毎試合、大量に撮影されています。
   6回表が始まる頃、ファンのTLは同じような画像で埋め尽くされてる模様です。

   試合は両軍合わせて11本のホームランが飛び交う、乱打戦となりました。

   7回には4番杉元、5番キロランケ、6番有古の3者連続ホームラン。

   有古はこの日、初回・3回に続く1試合3ホーマー。
   完投に向けて黙々と投球を続けるヴァシリまでもが、8回に来日初ホームランをかっ飛ばします。

   文字通りの大花火大会に、関カムファンもヒートアップ。
   圧倒的勝利のおまけ付きで、熱い熱い一夜となりました。

   そんな中、二軍から上がったばかりの若手にも一本ホームランが飛び出しましました。

   彼のひたむきな汗と毎日の練習を知っている菊田コーチが、とうとう一軍へ送り出した選手です。
   球場全体のボルテージは、主力選手の打席よりはチョイ、低かったかもしれません。
   だけど菊田コーチの笑顔は、他の誰がホームラン打った時より、なんなら自分が打った時よりも嬉しそうに見えました。
   菊田さんは一軍コーチではありません。
   控えめにその笑顔を、ベンチの奥の方で見せています。
   選手のガッツポーツも、観客ではなくどうもそちらへ、向けられていたようでした。

   ダイヤモンドを回る姿を見守りながら、「お前は毎日、あの花火見られるようになれよ」なんて思っていたかもしれませんね。
   そして翌日「喜びは俺じゃなく、お客さんに伝えるように」ってお説教していたりして。

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