菊田杢太郎

EP.02  WANDERING TAIL

6月。初夏の日差しが暑さを感じさせる季節がやってきた。2時を過ぎたので店を閉め、私は店の窓の、日除け用のロールスクリーンをガチャガチャやっていた。「ん~壊れたかとうとう・・・」下げても下げても、ガラガラと音を立てながら上へ上がって行ってしま…

EP.03 GMの野望

百之助。よく考えてくれたようだね。お前なら分かってくれると信じていたよ。不死身の杉元を売ったところで手に入るのは、せいぜい十数億の端した金だ。もちろん、金はいくらあっても邪魔にはならん。1ドルでも高く、市場価格を吊り上げるのだ。それがあの者…

EP.04 Bitter sweet thirty one

オールスター戦が始まる前の7月下旬、彼が予定通りに帰国した。彼の「裏ミッション」は、アメリカにいたんだから、当たり前だが何も進んでいない。シーズン前半戦が終了して、関カムは最下位に転落していた。不死身の杉元も最近不発で、テレビから伝わるベン…

EP.05 8月9月・限界・カムイ

杢太郎さんがアメリカに再び旅立って、私は杉元くんの二軍での様子を彼に伝えるようになった。以前はあまり見に行かなかった練習も、杉元くんが来てからなんとなく見守るようになってしまった。私が見ていたからって、杢太郎さんのミッションに何か役立つとも…

EP.06 PAN PAN PAN

その後は、店に宴会らしい華やぎが広がった。恩返ししたい、いろんな人の話を次から次へとしてくれる。関カムには「食わせてもらった」と言っていた。このスーパースターが、リップサービスではなく本気で言っているのだ。きめ細かく人の恩に報いようとする彼…

EP.07 「コールマイン」 in 渋谷

<< 渋谷の小さなバーで 男の一人語りが始まっている >>父親は堅物だったと聞いています。大学生協でアルバイトを始めたばかりの女と、入学したての男。仲良くなるのに時間はそうかからなかった。母が自分で、そう言ってました。父親の家は代々政治屋な…

EP.08 11月26日

11月26日。FA受付期間も終わり、プロ野球界はストーブリーグ真っ只中だ。杢太郎さんたちの「特命プロジェクト」にも、今年度の業績報告会がある。このプロジェクトの基本は、メジャー流を色々な面から学んでくることだった。杢太郎さんは、自分がアメリ…

EP.09 クロス・ロード

杢太郎さんが回してくれたタクシーで、指定されたフレンチレストランまでやってきた。約束の時間を過ぎても現れない彼を席でおとなしく待っていた、私のスマホに差出人不明のメールが一通。会議が終わったら、杢太郎さんとホテルから、一緒に来る予定だった。…

EP.11 みんな幸せになれ

朝になって、昨日渡すつもりだったプレゼントを開けてもらった。とっても可愛い包装から出てきたジョックストラップに、何故か彼は大笑いが止まらない。「えー何、そんなに笑う?欲しかったんじゃないの?」彼がリビングのパソコンで検索していたから、使って…

菊田選手の抱き枕

菊田コーチは選手時代、男性にも大人気だったんです。どこで行われたかは分かりませんが、「男性が選ぶ抱かれたい男」アンケートで、アスリート部門で1度だけランクインしたことがありました。関カムは、言うほど有名なチームではありません。ランキングで初…