EP.06 PAN PAN PAN - 2/2

それが終わるか終わらないかの内、彼の唇が短く繰り返し、音を立てながら、私の唇をつつき始める。

「ちゅっ」
「くーーーーーーーーーーーーーー。クカ」

私は彼の両足の間に椅子を寄せ、彼の胸にゆっくりともたれかかった。

「ちゅ」「ちゅっ」
「スピーーーーーーーーーーーーー。フン」

寝息・・・・・。杉元くんの・・・。

「コーーーーーーーーーーーーーー。グフォ」

「ああ」
「集中できん」

彼は徐に立ち上がり、私の手を引っ張って厨房へ向かう。
そして立膝の姿勢で、私をカウンター裏へ半ば強引に、屈ませて背を付かせ、押し込んだ。
そして自分もカウンターの影に隠れるよう にしゃがみ込み、私の両肩を痛いぐらいの力で掴んだ。
苦しげに目を閉じて彼は一旦呼吸を溜めてから、私の唇を自分の唇で盛大にこじ開けた。
深く深く交差させ、まるで果物か何かにむしゃぶりつくように、唾液の音を立てて激しくむさぼられる。
私の背中の壁が、引っ切りなしにギシギシと軋む。
強い力で髪を掻き撫でられ、私もいつしか彼の背中に腕を回し、その唇を夢中で堪能した。

彼のジャージの股間が、大きく膨らんで異形をたたえている。
「しぃ、ちょっとだけ」

彼が私のスカートの中に手を入れる。
「やっ杢太郎さん・・だめやめっ」

言いかける私の口を、またキスで塞ぐ。
彼は手慣れた様子で私の下着に手を入れる。
彼は私を知り尽くしている。
器用に柔らかくほぐして拡げ、指を少しずつ出し入れしながら、不意打ちに芯を撫で上げる。
彼の濃厚な口づけに力なく腰を落とした私のその場所は、ダメとは言っても既に、その指に吸い付いている。
少しづつ、上半身の衣服が乱され始めていた。
彼の唇は私の肩口から、顕にされた胸元へ向かって艶かしく這い、頂点を目指す。
彼の指は徐々に侵入を深め、やがて私の奥やその裏を、じっくりと何度も擦り上げる。
切ないところを断続的に触れられ、急激に私の中が、意思とは無関係に波打ち出す。
各方向から押し寄せる、不規則で激しい愛撫の連続に、私の快感はもう彼のなすがままだった。

指の出し入れに、液がじゅぐじゅぐ溢れ出る音がする。
体はもっと熱い震えを欲し、潤いを滔々と湛えながら彼を求め続ける。
それでも私は眉をひそめてぐっと目を閉じ、声を立てないよう唇を噛み締め、顔を背けて快感を堪えていた。
彼の左腕が私を抱き抱え、情感の籠もった掌が後ろから回って私の頬を撫でる。
自分が彼を、どんどん濡らしてしまうのが分かる。

やがて彼は不意に私を立ち上がらせて、クルッと後ろを向かせた。
そして作業台に手を付いた私の腰を、両手でひょいっと引き上げる。
バランスを崩した私は、その拍子で作業台に上半身を突っ伏した。
彼が指を抜いた隙間から、タレッ・・と、温かい液が、内腿を滴り落ちる感触が走る。
振り返ると彼はもう、自分のジャージを膝まで下ろして、いきりたつものを自分の手で持っていた。
その先端は、私にまっすぐ照準を合わせている。
そして突っ伏す私に背後から一旦覆いかぶさり、行くよ、と小さく耳元で囁いた。
それと同時に彼の先端が、彼に向かって姿を晒してヒクついている、私の隙間に触れるのを感じた。
私はピクン、と背中を仰け反らせた。
その瞬間、私の口元を抑え込むように、彼は掌を当てた。
彼がゆっくりと、わざと摩擦をするように、くびれた部分を引っ掛けながら徐々に私の中に押し破ってくる。
口が塞がる私は声を上げられず、彼の指の隙間から細い呻きだけを漏らす。
彼が下からえぐりこむように私の中に収まると、その先はちょうど、私の奥の痺れる場所を突き上げる。
私は上からも下からも痺れる刺激に貫かれ、絶え間なく無意識に涙を流していた。
その涙を確認したのか、彼は勢いよく、私の腰を片手で軽く持って自分を打ちつけ始めた。

体同士がぶつかる音はパンパンパンパンと、シンとした空間にはやけに高らかに鳴り渡る。

(音が・・大きい・・・)
素軽い音はパンパンパンパンパンパンパンパンと、なお大きく、なお早くなる。

(すっ杉元くんが起きちゃうよ〜〜〜〜!!!!)
私は声も涙もちょっと限界で、作業台を掌でばんばん叩いて、彼に抗議の姿勢を示した。

「・・・・・おと、ひびくな」
言葉は余裕だが荒い息遣いで呟きながら、彼は一旦自分を引き抜き、私を自分の掌から解放した。
「・・・・・ウン・・・」
私は雛鳥の鳴き声みたいなか細い声で、グッタリ頷きながらやっと返事をした。

「やっぱ奥行くか」
彼はジャージの下を脱ぎ捨てたすごい格好で、私を軽くお姫様だっこで担ぎ上げた。
私のお尻の下でもう一人、その存在を熱く固く、激しく誇示する人がいる。
私は、昔使っていたお昼寝布団を慌てて引っ張り出した。
その間に彼はもう辛抱たまらないみたいに、自分のTシャツを破りさらんばかりの勢いで投げ捨てた。
力任せに布団へ押し倒した私の、乱れたシャツの胸元に手をかけた彼の目が、暗がりに爛々と光る。
肩で息をしながら見下ろす視線に、私は狙いを定められた獲物のように動けなかった。

彼が私に上にガバッと覆いかぶさる。
そして私の胸を揉みしだきながら、性急に唇を激しく犯し始めた。
もう片側の腕で私の片足を持ち上げる。
彼の太く長いものは、何の抵抗もなく一気に私の中にずいっと滑り込んできた。
体の上から下まで、そして外から中まで、もう何も考えられない。
もみくちゃな快感に身悶えするばかりの私は絶叫に喘ぎながら、天国へ送り込まれるより他に道はなかった。

一回抜いて彼は、少し落ち着いたようだった。
「いやー気持ちよかった」とか「いっぱい出ちゃったなぁ」とかニコニコして呟きながら、私に水を汲んできて飲ませ、優しく頭を撫でてくれた。

横になって事後の余韻に浸っている私に彼は、
「しぃ、ちょっと腿片っ方、こっち持ってこれるかい」
と仰向けに寝転ぶ自分の脇のあたりを指差した。

私は上半身を起こし、なんだか意味が分からずキョトンとした。
「片っ方って、そっちへ?・・・もう片っ方は?」
すると彼は寝そべったまま、体を半身ほど、私に向かって斜めに傾けた。
もう片っ方は俺の腿の上にかけて、と指差しながら言う。

「杢太郎さんホントに・・・?こ、こう・・?」
私は戸惑いながら足を開き、彼の頭の方に足を片方伸ばして投げ出した。
横たわった彼の体に向かって座って後ろ手を付き、もう片方を彼の腿の上に乗っける。

「えっこれで・・いいの?」
「なんか、ちょっと恥ずかしいんだけど」
「えっちょっとほんき」
杢太郎さんの言うとおりにすると、彼の半分くらい蘇ったものの前に私を曝け出す形の、大開脚になってしまう。

私がごちゃごちゃと呟いていると、杢太郎さんは不意に私のふくらはぎをぐいっと引き寄せ、膝の裏のあたりに舌をざらっ・・と這わせた。

何?と思って、彼の方へ顔を向けた。
彼は真顔で、眉をしかめながら目を細め、私を見据える視線だけをこちらへ向けていた。
私は一瞬ビクッと、慄いた。

彼はこちらへ目線を定めたまま、私の足へ唇を這わす。
もう片手の指は艶かしい手付きで、あらわになった私の亀裂をもてあそぶように、伸び開きさせ始めていた。

冷たく熱い、恐怖にも似た感覚が、背筋をぞくっと走る。

彼のその表情は、今まで見たことのない「つべこべ言ってねえで股開きゃイイんだよ」とでも言いたげな、悪い男の顔だったからだ。

「・・あ」
状況を私は恐らく呑み込んで、お喋りする言葉は固唾と共に、喉を通って逆戻りした。

絡めとるような彼の目線は、私を見えない縄で縛り上げるように強かった。
彼は何も言葉を発さないのに、私は切なげな声で「・・ハイ」と返事をして従った。
彼が私の隙間を入念に揉み解し、時に広げて露出させた芯を摘んだり弾いたりして、もて遊ぶ。
彼のものは再び熱り立って、むしろ一度目より激しく血管を浮き立たせているように見えた。
彼の指が出し入れされる恥ずかしい様子が、嫌でも私の目に入る。
まるでいけない人の誘惑に絆されて、底の無い沼に惹き込まれていくようだ。

私の体が少しづつ、みだらな情欲に支配されていく。
私は吐息に熱っぽい艶気を与えながら、少し腰を上げ彼の先端に自分から近づいていった。
色気に濡れるお互いが触れ合った瞬間、彼は自分の腰を突き上げて、一気に私を突き刺した。
「————はぁぁぁぁxっっっx・・・」
全身のけぞるような痺れが私を貫く。
思いを乗せた叫び声が月明かりの部屋に、自分でも驚くほど艶やかに響き渡った。

ぐったりと横たわる私を、彼は甘く優しい目で見下ろしていた。

頬を撫でる掌が、私を労ってくれている。
「無理させたな。辛かったろ」

溜まってたんだよ、と小声で照れくさそうに白状する彼に、私は首を横に振った。
「ううん・・・少し驚いただけ。とっても気持ち・・良かった・・よ」
恥ずかしさに、声は徐々にか細くなる。
杢太郎さんの汗にベッショリと濡れた私は、その匂い立つ男の香りに包まれ、身も心も酔わされていた。

彼は、あんな最中でも私に気遣ってくれていた。
当たりすぎてないか、自分で動いてもいいぞ的なことを色々、言われていた気がする。

ホントに最初は戸惑ったけれど、少し動くと衝撃の激しさが違う、そんな場所は私にもあった。
一度見つけてしまうと、絶頂を求めて体は自ら、彼を呑み込んでしまうのだ。

「またやってもいいかい」
「うん、他にもいろいろ、しようよ」
照れくさげにお互い確かめあった後は最後に普通に交わって、汗まみれのままそっと彼の腕枕で眠りに落ちた。

朝。
完っ全に杉元くんの存在を忘れていたのに気がついた。
ここに居れば、小上がりの話し声は、聞こえる。
逆は、どうなんだろう・・・・自分で確かめたことが無かった。
想像すると血の気が引く。
杢太郎さんと二人でおそるおそる店の小上がりの様子を見ると・・

杉元くんは、半分瞼の落ちた目をショボショボさせながら、眉間に険しいシワを寄せて正座していた。

「あっノラ坊おはよう。起きてたのか」
杢太郎さんは爽やかを決め込んで声をかける。
だけどぐしゃぐしゃの髪とヨレヨレのTシャツに、バスタオルをスカートのように巻き付けたスタイルだ。

「・・・・ハイ」
「トイレ我慢してたんで」
杉元くんが一層眉間のシワを深め、目をショボショボと細めて、問いかける。
「もう・・・いいっすか」

「ドウゾ」
杢太郎さんがトイレの方向へ掌をスイッと動かし、頭をちょこん、と下げる。
杉元くんは憮然とした顔をして前屈みでトイレに向かい、篭ったまましばらく戻ってこなかった。

杢太郎さんは、厨房に脱ぎ捨てた自分のジャージを拾いながら
「もうあいつ、ここ来ねえだろうなあ」となんとなく呟く。
「そうだねえ」と私は、気絶するほどの恥ずかしさを直視できなくて、人ごとのように返事した。
「杉元くん戻ったら、どんな顔してればいいんだろう」と私が言うと
「普通でいいんじゃねえの」と彼も人ごとのように返事した。

ひとまず朝食だけでも摂ってもらった。
杉元くんは二軍施設の練習に参加すると言う。
睡眠はほとんど取れていないように思えたので、怪我だけはしないでね、無理しないでねと声をかけた。

私は一人だけシャワーで汗を流してさっぱりし、昨日のお布団から洗濯物を剥がしたりしていた。
小上がりから、話し声が聞こえてくる。

「えーとねお前、体の相性だって大事だぞ」
「結婚前に確かめんのは、何っ・・・にも悪りぃ事じゃねえからな」

「・・・肝に銘じます」

堂々と、何を教えているの・・・
私の体は熱くなり、変な汗はだらだらだらだらと、いつまでも、止まらなかった。

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